Placemaking Lab for Livable Cities
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“God in the details”

2.5万歩×3日間=7.5万歩。歩幅は平均で75cmなので、総距離約56km。
これは、私たちが東遊園地で先日開催したNIGHT PICNICという企画で歩いた距離。
公園の中を、しかもたぶん半径500mくらいのエリアで、ただマグロのように回遊し続けるのです。

建築家のミース・ファン・デル・ローエが使ったとして有名な「God in the details(神は細部に宿る)」という言葉を肝に銘じて、日々プレイスメイキングのことを考えています。
デザインする人や場を作る人たちにとっては、「宿る」というよりは、「宿ってくれ」に近いものもあるような気がしますが、兎にも角にも、細部は大事にしたいのです。

NIGHT PICNICで回遊している私たちは、最後の最後、当日まで大量の修正をしています。もちろんバッチリ準備万端、が一番いいのでしょうが、当日の天気や内容によって軌道修正をかけないと、「愛すべき風景」はつくれません。

例えば。

今回のイベント中日は雨が降りました。30分ほどの通り雨(最近スコールみたいなの多いですね)が過ぎ去ったあと、人々にどこでどう過ごしてもらうか。雨が降っている最中から、天気予報を見つつ、雑巾や水切りワイパーの準備を始め、雨が止んだら公園内の座れる場所から水気を奪います。湿り気を帯びた芝生もまだまだ楽しめそうなので、芝生の上に座具を置いてみます。

出店してくれているベーカリーのパンを、買ったまま持ち帰る人が多く、その場で食べたくなるようにトースターとパン切包丁を用意してみる、毎日レイアウトを少しずつ変えて人の流れを見る...。

あげればきりがないのですが、夜のピクニックのために「神よ、細部に宿ってくれたまえ!」をたくさん仕込んでいます。

もちろん、思っていたのと違う結果になる時もありますが、それは一言に「失敗」ではなく、細部がそこじゃなかったか、もっと細かくなるべきか、どちらかです。

6月もナイトピクニックを開催するので、また細部を考える日々です。
みなさまの心の中にある「細部発見器」を持ってお越しください。

文/稲葉滉星