Placemaking Lab for Livable Cities
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「いい場所(プレイス)」ってなんだろう

先日、2025年6月1日にURBAN PICNICの社会実験をはじめてからちょうど10年が経った。東遊園地の活動にお仕事として携わりはじめた時、10年後に東遊園地がこんなに日常使いの風景をもつ公園になるとは、想像もしていなかった。

2015年 はじめての社会実験
2025年 10周年パーティー

東遊園地にいるときに、「何年も来てなかったけど、とてもいい場所になったわね。」と声をかけられることがある。

ふと「いい場所」ってどんな場所なんだろう?と考えたりする。

・人がたくさんいる場所?

・オーセンティック(歴史)を感じる場所?

・1人でいても心地いい場所?

・大切な思い出が残る場所?

たぶん、人によって答えは違い、かなり哲学的な問いになる。特に公共の空間になると、いつでも・だれでも利用でき、その見解はまた拡がっていくだろう。

「これから10年後、わたしたちが運営しているプレイスはいい場所であり続けられるだろうか?」と考える。

2019年にメルボルン発のプレイスメイキング手法について学ぶ「マスタークラス」の日本開催のお手伝いをさせてもらった。その講座のテキスト『Toolkit』を読み返してみると、こう書いてあった。

‘プレイスメイキングが効果を発揮し続けるためには、管理運営にしっかりと手間をかけることが重要です。管理運営を大切にすることによって、コミュニティの魅力と素晴らしい体験が未来へとつながり、すばらしい顧客サービスを維持することができます。アクションプランと評価管理の枠組みをつくることよって、プロジェクトを管理し、長期にわたって投資家やコミュニティに信頼してもらうことができる。’

必要な要素の一例)

・プレイスマネージャーを任命し、ステークホルダーとの連絡責任者とすること。

・プレイス企画力を高めるためのトレーニングプログラムを開発すること。

・現在の利用者に加え、より幅広く新たな利用者にアピールできるアクティビティを企画すること。

商業施設に寄った文章だが、色んなプレイスにあてはまると思う。

2019年のマスタークラスの様子

改めて読み返してみると、できていることと、できていないことがある。あれから、いくつかのプレイスメイキングを実践して「いいプレイス」を維持させる手法はこれより他にはないのだなと改めて思う。

体調・お肌の管理も、少し調子を崩すとボロボロになり、それを回復させるのにはだいぶと時間がかかる。(年齢によるが…)

「プレイス」も日々管理をし、また振り返ることでしか、維持できないし、新しい価値もうまれない。

またこれから10年、日々いま築いている様々な関係性を、10年後にもゆるやかに維持しつづけ、そこに新たな関係性を構築し、魅力的なプレイスの価値を創っていく。

それができていたら、またURBAN PICNIC20周年パーティーを10年後のプレイスマネージャーが開催してくれるだろう。

最後に私の「いいプレイス」について考えてみる。

「安心でやさしい時間があるところ」かな。

それは、人間関係であり、食べるものであり、聴こえてくるもの、触れるものすべてが「安心・やさしい」でつつまれている場所。

せめて、自分の隣の隣にいる人くらいにはそういうプレイスを共有できるように日々を過ごしたいと思う。

わたしのいいプレイスのひとつ・頴娃町

みなさんにとって「いい場所(プレイス)」ってどんな場所ですか?

文/岩田 晶子