みなさまこんにちは、野中です。2025年が始まりましたね。年々、1年という月日の体感が短くなっている気がして、ジャネの法則を実感します。
早いもので、私がリバーワークスに合流してから丸2年が経とうとしています。教育畑の出身の私にとって、建築業界の色が強いプレイスメイキングという分野は、入社してから毎日、学ぶことばかりでした。もともとまちづくりに関心はあったものの、今でも無知の知を自覚するような毎日を過ごす修行僧です。
そんなまだまだ道半ばの私ですが、昨年から「ネイチャースタジオラボ」という子どもたちの学びをテーマにした企画を担当しています。今回は、学びから考えるプレイスメイキングについて、ネイチャースタジオラボに込めた想いとともに、綴ってみようと思います。
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ネイチャースタジオラボは、こどもたちが学びを楽しむために生まれたシリーズ企画です。
私は理科の教員をしていましたが、理科から得る学びはこれまで何となく見てきた自然現象の背景を順序だって教えてくれます。森羅万象のつながりが掴めるかもしれない、もっともっと知りたい!と、前向きな気持ちにさせてくれるのが、理科のたまらなく好きなところです。理科に限らず、身に付けた知識がいつどこで活きてくるかはわからないけれど、知識が日常に潜む現象とつながったり、知識として知っていたことを実際に目の当たりにした瞬間のわくわくは、まさに学びの醍醐味だと思っています。
そんな学びの醍醐味を知る前に、学びを避ける子どもたちも少なくはありません。授業で学んだことの成果が点数として数値化されたとき、学校・家庭の限られた範囲で生きる子どもたちの中には「どうせ何をやってもうまくいかない、何かを頑張ったってどうせ役に立たない」と自暴自棄に陥ってしまう子どもがいます。消極的になって、身の回りにあることに目が向かなくなって、日々が退屈になって。教育現場では、そんな悪循環を幾度となく目にしました。
子どもたちと一緒に、日常に潜む楽しい学びを見つけたい。学校じゃないところにだって、楽しい学びは転がっているはずだから、それを、一緒に見つけたい。そんな想いから生まれたのが、ネイチャースタジオラボという企画です。
ネイチャースタジオラボでは一人ひとりの個性を大切にしながら、ネイチャースタジオやその周辺地域をフィールドに体験活動を行い、まちのなかにある学びをみんなで見つけていきます。
第1弾は、昨年9月に行ったピザ作り体験企画。ネイチャースタジオ産のハーブの香りを確かめながら、自分の好きなハーブをのせて世界に1つだけのピザをみんなで手づくり。緑の食べ物は嫌い!と言っていた子どもたちも、体験が終わるころにはハーブに興味津々でおいしく緑の食べ物(ハーブ)を食べていました。
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ネイチャースタジオとその周辺地域は、まさに、楽しい学びが山のように眠る宝箱です。ここでは、私がネイチャースタジオとその周辺で見つけた学びを2つ、紹介させてください。
- コンクリートにも負けないミント
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ネイチャースタジオに入ってすぐの左手には、数種のミントが植わっています。よーく観察すると、、ミントが、花壇を飛び出してコンクリートの隙間からも顔を出しています。ミントは繁殖力と生命力が強い植物なのだよと聞いたことはありましたが、まさかここまでとは思いませんでした。コンクリートの下でめきめきと根を這わせて地表に顔を出すミントの生命力、恐るべし…!
- 斜面に残る木造家屋
ネイチャースタジオの北側、兵庫区北部には、木造家屋がびっしり並ぶ地域があります。その中には空き家も数多ありますが、びっしり並ぶ家屋が未だ現存しているのは、このまちが辿ってきた歴史に紐づいています。1つは、近くを神戸市電(路面電車)が走っていたこと。かつて有馬道~平野までを結んでいた神戸市電は、当時の重要な交通手段の1つでした。それゆえに、兵庫区北部は住宅地として栄え、多くの家屋が建てられたそうです。
2つ目は、その立地です。家屋が建てられたころは、一般家庭の車所有がまだ浸透していなかったそうで、家屋を取り囲むのは自転車が辛うじて通れるほどの狭い道ばかり。そのため、取り壊すにも車両が入ることができず、現在の状態になっているそうです。学生時代、歴史には苦手意識を持っていましたが、震災そして文明の発展からいま目の前にある景色が紐解けると、歴史を学ぶことの奥深さが垣間見えた気がしました。
ネイチャースタジオとその周辺地域で、そこに潜む楽しい学びを子どもたちと一緒に見つけていけたら、それがどんどん集まっていったら、それはこのまちの大きな価値になるのではないか。そんなことを考えながら、今日も、修行に励んでいます。
みなさんの見つけた学びも、いつかお会いした日に、教えていただけると嬉しいです。
文/野中 祐希