静けさを活かしたプレイスメイキング

前回私が執筆担当したときには、「にぎわい」がいつでも自動的にプレイスメイキングの目的となるわけではない、という話を書きました。その文末で「にぎわい」をつくらないプレイスメイキングについて触れたのですが、このたび、集客に過度に依存せずにきもちのよい場所をつくる、そんなプレイスメイキングにチャレンジすることになりました。

その新しいチャレンジの場は、神戸市中央区の諏訪山公園です。このたび、もともと花と緑のまち推進センターとして使われてきた建物等の活用を、リバーワークスで担当することになりました。

兵庫県庁からまっすぐ北へ、山にぶつかったあたりに諏訪山公園はあります。NATURE STUDIOと三宮を結ぶ市バス7系統の沿線でもあり、地形的には六甲山系から海に向かってすっと伸びた稜線に位置しています。

子どもの頃からこのエリアは知っています。毎日登山の発祥の地であること、相楽園の北にあたり学校や県政に関係する施設が建ち並んでいること、公園の豊かな植栽など、いろいろ脳裏に浮かびます。そして、上品で静かなエリアだという印象を強く感じてきました。

民がみどりについて学ぶ場所という歴史はこれからも活かしていきます。日常的に自然に親しむための、ハイキングルートも大切にしていきたい。そしてなによりも、都心に近く、自然をじっくり楽しむ場所として、魅力を高めていきたいと感じています。

都心に最も近くで静けさを感じられるのが、諏訪山の魅力です。この魅力を大切にするためにも、適度なにぎわいをどう維持していくのか、新しい挑戦がはじまります。人の量と収入は多くの場合は比例するでしょうから、適度な人の流れで成り立つ収益構造を考えることも、難題すぎて楽しみです。

豊かなランチタイムをすごせるカフェをつくることや、ミツバチやチョウなどのポリネーター(受粉する生物)を大切に扱う庭づくりなど、大きな方向性は定まっていますが、これから解像度をどんどん高めていく必要があります。

静けさを活かしたプレイスメイキングに、ぜひご注目ください。

文/村上 豪英